Christian Boltanski
[Lifetime]
50年の軌跡―待望の大回顧展

・企画展会期:2019年2月9日(土)〜2019年5月6日(月)
・会場:国立国際美術館

展示物紹介

・D家のアルバム、1939年から1964年まで
・影(天使)
・影
・モニュメント
・保存室(プーリム祭)
・保存室(カナダ)
・死んだスイス人の資料
・その後、ピック
・ヴェロニカ
・三面記事
・コート
・往来
・青春時代の記憶
・心臓音
・発言する
・自画像
・スピリット
・最後の時
・出発
・到着
・黄昏
・ぼた山
・アニミタス(チリ)
・アニミタス(白)
・ミステリオス
・黄金の海
・黒いモニュメント、来世

感想

 以前、豊島でいくつか作品を見たことがあって、今回大規模な個展ということだったので興味があって見に行った。最初、入口すぐでは「??」となっていたのだけれど、アニミタスとか見たあたりから気持ちが鎮まってきて、薄暗い空間の居心地が良くなってきた。
 人の写真がたくさん使われているけれど、祭壇や鎮魂の場のように思えた。いろいろなところに電球が使われているのだけれど、電気の線が露になっていて、それが見えることでまだ供給があるから明るいんだなと思った。でもいずれ電気がこなくなれば消えるのだし、そうしたら今は明るく照らされている写真も真っ暗になって、そのまま忘れられていくような気がした。
 消えていくものを作品によって必死につなぎとめておきながら、それでも結局は消えていくんだということを見せつけられているような気もする。
 難しいことはよく分からないけれど、すごく楽しかった。

 あわせてコレクション展として「見えないもののイメージ」を開催していた。こちらはLifetimeとあわせて「死者へ」「作者と」「天空に」という3つの視点から展示されていた。塩田千春さんや内藤礼さんの作品が出ていて、何度かここで見たことがあるけれど嬉しかった。
 あと、いつもここで見るたびに引き込まれるのが、アンゼルム・キーファーの「星空」。すごく綺麗だと思うわけではないのだけれど、ざりっとした質感と大きく広がる真っ黒い空にあふれんばかりの星に圧倒される。横たわる人がそのまま空に溶けて星になりそうな感じがして、少しだけ死への恐怖がやわらぐ気がする。