内藤礼
明るい地上には あなたの姿が見える
Rei Naito: on this bright Earth I see you
・企画展会期:2018年7月28日(土)〜2018年10月8日(月)
・会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
「地上に存在することは、それ自体、祝福であるのか」をテーマに制作している内藤礼さんの個展。自然光のみで展示され、「地上の生の光景」を見つめる空間を生み出している。
・母型
・タマ/アニマ(わたしに息を吹きかけてください)
・無題
・ひと
・顔(よろこびのほうが大きかったです)
・世界に秘密を送り返す
・color beginning
・ベンチ
・窓
・帽子
・人生の可能態
・恩寵
・Two Lives
・風船
・鈴
・ボンボン
・椅子

以前、東京の庭園美術館で内藤礼さんの個展「信の感情」を見てから、この人のファンになった。最初見た時は、自分がこんなに好きになるとは思っていなくて、なんだか気持ちのいい空間だったなぁというくらいだった。ただ、思い返したりするたびに、もっとあの空間にいたかったと思うようになり、瀬戸内の作品を見に行ったりした。今回、珍しく日本で大規模な個展が開かれると言うことでどうしても行きたくて、ちょっと遠いけれど行って来た。
行って良かった。自然光の中で、天井からの光があたる明るい場所と、光が届きにくい暗い場所があって、それぞれの空間が、そこにいて気持ちのいい場所だ。ひとが見守っていてくれたり、きらきら光るビーズがあったり、鏡があったり、鈴があったり。ただの水だけれど、ここにあるとそれが生命と関係しているんだって思える。
綺麗な場所で、心地よくて、けれどどこか少しだけ、怖くもある。命のこと、生のことを考える時、そこには必ず死があって、終わりがあるからだ。内藤礼さんはわたしが地上に存在することを祝福してくれているように感じるのだけれど、「おいで」と手招きされるその先は、光が沈んでいった暗いところのように思えるからだ。地上は明るいだろう。けれどその地上の縁から落ちてしまったらそこは暗いのだ。そのことを自分が受け止められるようになるには、たぶんもう少し時間がかかる。ただ、そのきっかけをくれるような展覧会だった。