福岡道雄 つくらない彫刻家
A Sculptor Who No Longer Sculpts
・企画展会期:2017年10月28日(土)〜2017年12月24日(日)
・会場:国立国際美術館

なんとなく面白そうだなぁという軽い気持ちだったのだけれど、想像以上にとても楽しかった。
特に第2章の最初の部屋はバルーンが圧巻で、とても迫力があった。飲みこまれそうになるのに、熱や勢いというよりも、どうしようもないんだというような閉塞感が迫ってくるようだ。
それぞれの章の始まるところに、福岡さんの作品の変化の解説が書かれていて、それを読んでから作品を見ると、より興味深く感じる。どうしていいのか分からない、何もできないような、それでも何かしたいような、分からないことばかりで迷って苦しんでもがいているのが伝わってくる。綺麗とか超絶技巧とかそういうものではなくて、思考や感覚、感情なんかを伝えるために試行錯誤しているのだと思った。
第5章の最初、ただひたすらに文字を連ねた波のような作品は、見ていると気が狂いそうになる。どんな気持ちでこれを作り上げたのだろう。よくもまぁ向き合っていられたものだと驚かされる。しかし少しずつ、その言葉の間にちょっとしたユーモラスな日常が書かれていたり、花や生き物が顔を覗かせたりするようになって、少し救われたような気がした。
国立国際美術館は有名な展覧会だけでなく、たまにこういうすごく面白いことをやってくるので好きだ。