A Sculptor Who No Longer Sculpts

・企画展会期:2017年10月28日(土)〜2017年12月24日(日)
・会場:国立国際美術館

展示物紹介

第1章 彫刻らしきそれを創ろうと思えば思う程、真実らしい仮面をかぶった偽作が出来る
・SAND
・奇蹟の庭

第2章 空中で、もうだめになって、地上へ舞いもどることもできないし、だからといって、もっともっと高く舞いあがることもできないでいる毎日の僕達なのだ
・集積
・首つり
・何もすることがない
・何もすることがない 僕達がピンク色の女王のアドバルーンとなるとき
・ピンクバルーン
・飛ばねばよかった
・デッサン
・ポトリ
・フワリ
・ダラリ
・何もすることがない

第3章 僕の眼に反射する光像はブラックだ
・地球を植毛すること
・月の影を変えること
・Pinkの残影又は黒の降下
・蛾
・アップル
・僕の顔(犬)

第4章 魚の水槽の水を変えるべきか、それとも彫刻を作るべきか
・坂道
・ピーチハウス
・木
・アトリエ(朝)
・草むしりは病気でしょうか
・釣りをする
・石を投げる
・波
・琵琶湖の凪
・石になれるか
・波になれるか
・自分の穴を掘る
・僕達は本当に怯えなくてもいいのでしょうか

第5章 中心の無い彫刻、あるいは無数に中心のある彫刻
・温見ダムの4人
・僕達は本当に怯えなくていいのでしょうか
・何もすることがない
・何をしても仕様がない
・死ぬ 死ね 死ねるか
・涙が出るポトポト 笑が出るハハハ
・何をしていいのか分からない
・何もしたくない・7月(時鳥)
・nothing to do
・ブラックバルーン
・馬鈴薯
・もういいじゃないですか ニッコリ笑っていきましょう

第6章 なに一つ作らないで作家でいられること、何も表現しないで作家として存在できること
・ミミズの自殺
・立つ蚯蚓
・飛ぶ蚯蚓
・腐ったきんたま
・つぶ3つ
・つぶ7つ
・つぶ15つ

感想

 なんとなく面白そうだなぁという軽い気持ちだったのだけれど、想像以上にとても楽しかった。
 特に第2章の最初の部屋はバルーンが圧巻で、とても迫力があった。飲みこまれそうになるのに、熱や勢いというよりも、どうしようもないんだというような閉塞感が迫ってくるようだ。
 それぞれの章の始まるところに、福岡さんの作品の変化の解説が書かれていて、それを読んでから作品を見ると、より興味深く感じる。どうしていいのか分からない、何もできないような、それでも何かしたいような、分からないことばかりで迷って苦しんでもがいているのが伝わってくる。綺麗とか超絶技巧とかそういうものではなくて、思考や感覚、感情なんかを伝えるために試行錯誤しているのだと思った。
 第5章の最初、ただひたすらに文字を連ねた波のような作品は、見ていると気が狂いそうになる。どんな気持ちでこれを作り上げたのだろう。よくもまぁ向き合っていられたものだと驚かされる。しかし少しずつ、その言葉の間にちょっとしたユーモラスな日常が書かれていたり、花や生き物が顔を覗かせたりするようになって、少し救われたような気がした。
 国立国際美術館は有名な展覧会だけでなく、たまにこういうすごく面白いことをやってくるので好きだ。