Benesse Art Site Naoshima

地中美術館

設計は安藤忠雄、2004年竣工。

展示作品

クロード・モネ室
床:大理石/壁:砂漆喰/天井:プラスターボードEP/ガラスケース:低反射高透過ガラス/大理石(タソスホワイト)
「睡蓮の池」、「睡蓮―草の茂み」、「睡蓮」、「睡蓮の池」、「睡蓮―柳の反映」

ウォルター・デ・マリア室
「タイム/タイムレス/ノー・タイム」

ジェームズ・タレル室
「アフラム、ペール・ブルー」、「オープン・スカイ」、「オープン・フィールド」

感想

 モネの睡蓮はあぁこれだという思いが強い。ゆっくりじっくり見れたし、壁紙や床、光まで気を使った展示室はよかった。近くで見るとはっきり言って何が何だか分からないのに、遠くで見るととても幻想的な作品。点から出来ているんだと改めて感じてしまう。印象派、という意味を実感できる。
 ウォルター・デ・マリアはすごいと思うのだけれど、何がすごいのか言葉にできない。思うところはあるが、解釈はできない。ジェームズ・タレルは純粋に綺麗。わたしは「オープン・スカイ」が一番開放的で自由な作品だと思ったので一番好き。
 建物については正直ちょっと微妙だな、と思った。たとえば壁の傾斜や見上げた空を切り取る形などは面白いしいいと思うのだけれど、中をコンクリート打ち放しにするのはどうかと思う。もちろん、ウォルター・デ・マリアの部屋とかはコンクリートならではの良さがあると思うのでいいけれど、とにかく声や音が反響して、美術館という建物にあまり似つかわしくないように思う。静かに鑑賞したいと思うけれど、やっぱり一緒にそれを見ている人と感想を言い合ったりもしたい。それを見越してそれぞれの作品の部屋を入場制限しているのかもしれないけれど、通路なども含めてもっと美術館という場所を楽しみたいと思った。

ベネッセハウス ミュージアム

安藤忠雄設計。1998年竣工

展示作品

・安藤忠雄「ドローイング」
・リチャード・ロング「瀬戸内海の流木の円」「十五夜の石の円」
・杉本博司「タイム・エクスポーズド」
・ジェニファー・バートレット「黄色と黒のボート」
・イヴ・クライン「青のヴィーナス」
・ブルース・ナウマン「100生きて死ね」

感想

 まさかこんなところでイヴ・クラインと出会えるとは思っていなかったので感激した。青だ。青という色から想像する青とは違う、IKB。すごい。高貴だというのも道理。しかも人があんまりいないのでじっくりまったり見れた。
 作品は大きいものが多いので、場所の割に回るのにそれほど時間はかからない。面白いのは、美術館の中だけでなく外も使って作品をリンクさせているところ。黄色と黒のボートやタイム・エクスポーズドなんかはその最たる例かと思うが、リチャード・ロングの作品も外を感じさせると言う意味ではその場所に留まらない広がりがあるように感じられた。

家プロジェクト

展示作品

 直島・本村地区で古い家屋を改修し、アーティストが家の空間そのものを作品化したプロジェクト。

 
・はいしゃ(大竹伸朗「舌上夢/ボッコン覗」)
・南寺(ジェームズ・タレル「Backside of the Moon」/建築設計:安藤忠雄)
・角屋(宮島達男「Sea of Time '98」/建築設計:山本忠司)
・護王神社(杉本博司「Appropriate Proportion」/設計:杉本博司、木村優、設楽敏生)
・石橋(千住博「ザ・フォールズ」)
・碁会所(須田悦弘「椿」)

感想

 家プロジェクトの地区へ歩いて行ったのだが、最初にあった「はいしゃ」を危うく見逃すところだった。溶け込んでいるのに異質。廃屋のように見えるのに新しい。そういった意味では「はいしゃ」が一番印象的だった。
 作品として分かりやすいというか、あぁすごいなと単純に思えたのは「南寺」。入る前から暗闇の中に光が見えてくると言われていたので心構えはあったのだが、実際にそれを体験するとちょっと感動する。触ったり中に入ったりというのとはまた違う、体験型アートで楽しい。
 その地区をうろうろしながら家を巡るので、途中で休憩したり海を見たりと散歩気分で回れる。いわゆる「美術館」とは違った楽しみ方ができてよかった。