西郷従道邸

設計にはレスカスが関与していると見られる。
1880年代
木造二階建銅板葺
重要文化財

 西郷隆盛の弟、西郷従道が建てた住宅で、接客用に設けられた洋館。半円形のベランダを張り出したコロニアル風。本館は和風だった。
 設計にはフランス人のレスカスが関与していると伝えられていて、建築金具や階段などはフランスから取り寄せられている。耐震性を高めるため、屋根は軽い銅板、壁の下に重り代わりの煉瓦を使用。

明治の上流階級における洋館の象徴

・中央を通る廊下から各部屋へ入る事の出来る間取り
・装飾的な階段
・縦長の窓とカーテンボックス
・窓の外につけられた鎧戸
・暖炉や天井飾りなどの室内装飾
・正面に設けられたベランダ

西郷邸は、これら新しい時代の住宅の象徴を取り入れている。

 洋館は一般的に軒の出が日本の伝統的な住宅に比べて小さいので、立面が単調にならないように軒周りの装飾に工夫が施されている。
 西郷邸では軒の鼻隠しとして繊細な輪郭を持つパージという切り抜き板を取り付けている。
 ベランダの手すりや柱頭の方杖も意匠が凝らされている。

半円形に張り出されたベランダ

装飾


カーテンボックス、扉金具、天井には押し出し模様の鉄板が張られている。

階段

上り下りが楽な廻り階段。手を返すことなくスムーズな上り下りが可能。