三重県庁舎

清水義八(三重県の大工)
1879年
木造二階建
重要文化財

外観

 間口54m。玄関を軸に左右対称で、上空から見るとEの字のかたちの平面をもつ。二層のベランダなど当時の官庁建築の典型。構成は東京大手町の内務省庁舎に倣っている。
 内外とも柱を見せない漆喰塗大壁、屋根は桟瓦を葺き。窓は全て上げ下げ硝子窓。妻面は鎧戸付。
 ベランダの天井は、1・2階とも幅の狭い杉板を斜めに交差させてはる透菱目張りとしている(洋風住宅のベランダによく用いられた)。車寄せの屋根に手すりがあり、入母屋屋根の破風には菊花紋章(官公庁建築のシンボルとして好んで用いられたモチーフ)がある。

アーチ

 玄関は切角石を積んで、櫛形アーチと呼ばれる扁平なアーチを作り、両折戸の扉を入れている。
 各部屋の出入り口の上部には半円形の欄間(ファンライト)をつけてガラスをはめ、窓も上辺をアーチ形に。出入り口と窓の上辺の高さがそろっているので、建物全体にアーチが連なる。

内装


 装飾は窓周りと天井飾りに集中し、他は白い壁のみ。
洋風建築においては普段から室内装飾が必要とされ、壁面の空白を埋めるためにカーテンや壁紙などの室内装飾が発展することになる。